昔は55歳で定年、今は75歳から高齢者?――医学データが示す“若返り”の実像
昭和期の55歳定年と、学会が提案する「75歳以上」の新たな高齢者区分。その違いと、身体機能の若返りが人生設計に与える意味を一つずつ確認していきます。
「55歳から75歳へ」は、同じ定義の変更ではありません
昭和期には、民間企業で55歳定年が広く採用され、雇用政策でも55歳以上を「高年齢者」と扱う時期がありました。一方、現在話題になっている75歳は、日本老年学会・日本老年医学会が、医学・老年学の立場から提案した高齢者の新しい区分です。
つまり、国が一つの基準を55歳から75歳へ一律に引き上げたわけではありません。雇用、年金、医療、介護、統計では、それぞれ目的に応じて異なる年齢基準が使われています。
75歳以上を「高齢者」とする学会提言
日本老年学会と日本老年医学会は2017年、75歳以上を高齢者、65~74歳を「准高齢者」、90歳以上を「超高齢者」とする区分を提案しました。2024年の報告書でも、75歳以上という提案は引き続き妥当としています。
背景には、65歳以上を高齢者とすることに医学的・生物学的な明確な根拠が乏しいことと、現在の65~74歳には、病気を抱えながらも自立して生活し、社会で活動する人が多いという実態があります。
医学データが示す「5~10歳の若返り」
学会の検討では、歩行速度、握力、知的機能、歯の本数、慢性疾患の受療率、要介護認定率、死亡率など、複数のデータが確認されました。その結果、現在の高齢者は10~20年前と比べ、身体機能の変化が現れる時期が5~10年ほど遅くなっている傾向が示されました。
これは、一人ひとりが実年齢より必ず5~10歳若いという意味ではありません。同じ年齢でも、健康状態、生活習慣、病歴、仕事や社会とのつながりによる個人差は大きくなります。
若返ったからこそ、人生設計は長く考える
元気に活動できる期間が延びれば、働き方、趣味、地域活動、家族との時間にも新しい選択肢が生まれます。一方で、退職後の生活期間が長くなり、生活費、医療・介護費、住まい、資産の取り崩しを考える期間も長くなります。
「何歳だから高齢者」と一律に決めるのではなく、健康状態、収入、支出、家族構成、希望する暮らしを個別に確認することが重要です。保険や資産形成も年齢だけで判断せず、いつまで働き、どのように暮らしたいかから逆算して考えます。
年齢のラベルより、今の状態を確認する
75歳という数字は、元気で活動する可能性を広げるための一つの提案です。75歳までは健康上の心配がない、75歳から急に支援が必要になる、という境界線ではありません。
定期的な健康確認、適度な運動、食事、社会との交流を続けながら、家計や保障も数年ごとに見直すことが大切です。暦年齢と実際の状態の両方を見て、自分らしい人生の後半を設計していきましょう。
年齢の呼び方が変わっても、備えが不要になるわけではありません。むしろ、元気に過ごせる時間と、その先の暮らしを一緒に長く考える必要があります。株式会社クリエイティブクラスでは、50代以降の健康、保険、老後資金、相続までを一つの人生設計として整理するお手伝いをしています。
- 弁護士JPニュース|「高齢者」の境目、昭和の55歳からなぜ今75歳へ?(2026年9月21日)
- 日本老年医学会|高齢者の定義と区分に関する提言(2017年1月5日)
- 日本老年医学会|高齢者および高齢社会に関する検討ワーキンググループ報告書(2024年6月14日)
- 内閣府|令和7年版高齢社会白書(2026年9月23日確認)
- 厚生労働省|高齢者(e-ヘルスネット)(2026年9月23日確認)
※本記事は2026年9月23日までに確認した公式資料・報道に基づく一般的な解説です。75歳以上という区分は学会の提言であり、年金、医療、介護、雇用などの制度上の年齢が一律に変更されたものではありません。健康状態や必要な保障、資金計画には大きな個人差があります。
